総務省が発表したSIMロック解除義務化とはいったいなに?

総務省が発表したSIMロック解除義務化とはいったいなに?

通信関連行政を所掌し携帯事業者を管轄する総務省が昨年12月に「SIMロック解除に関するガイドライン」を改訂しました。2015年5月から各キャリアに対して、それに従ってSIMロック解除をするよう義務付けた内容です。

 

お客さんが「SIMロック解除してください」と言ったらしなければならなくなった、と言うことです。そういう訳で、各キャリアは原則5月発売の端末から、顧客の要求に応じて、SIMロック解除を行うことを発表しました。

 

総務省がわざわざこんなことをするにはどんな意図があるのでしょう?また、SIMロック解除義務化が我々にもたらすものは何でしょうか?

総務省の意図

総務省のモバイル通信に関する資料によると「端末を買い換えずに他の事業者の通信サービスに乗り換え」ることができるようになったり「(2年間の)期間拘束に伴う割引と自動更新の運用を改善」したりすることによって、利用者の利便性を図ると共に、「MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)推進」によって通信料金を下げる狙いがあるようです。

 

たしかに、MVNOについては、格安SIMカード業者の激増と、SIMフリー端末の急速な普及によって、一気に市場が拡大しました。

 

しかしながら、「端末を買い換えずに他の事業者の通信サービスに乗り換え」の促進を意図したと思われる今回のSIMロック解除義務化については疑問を感じます。後述しますが、現状では「SIMロック解除義務化」と「通信事業者乗り換え」がまったく連動していないからです。

義務化を受けた各社の発表

SIMロック解除義務化を受けて、各社とも実施内容を発表しています。

 

ドコモの発表要旨

 

<2015年5月1日以降に発売された機種>

 

・購入から半年間はSIMロック解除できない。
・ネット受付なら無料、ショップ店頭および電話受付だと3,000円(税別)の費用がかかる。
・解約後90日を過ぎてしまうとSIMロック解除してもらえない。

 

<2011年4月〜2015年4月に発売された機種>

 

・ショップ店頭のみの受付で、3,000円(税別)の費用がかかる。

 

実はドコモは、義務化以前より、顧客の要求に応じてSIMロックを解除していました。なので、今回の発表でも、他社と違って、2015年4月以前に発売された端末のSIMロックもできることを明記しているのです。

 

ただ、今までは顧客の要求に応じて常時SIMロック解除をしていたので、今回の発表(2015年5月1日以降発売機種が購入から半年間SIMロック解除できないこと)は、むしろ「後退」な訳です。

 

ソフトバンクの発表要旨

 

・2015年5月29日以降に発売された機種のみSIMロック解除対象。
・購入から半年間はSIMロック解除できない。
・ネット受付なら無料、ショップ店頭受付だと3,000円(税別)の費用がかかる。
・解約後90日を過ぎてしまうとSIMロック解除してもらえない。

 

概ね、ドコモの発表内容と横並びです。

 

auの発表要旨

 

・2015年5月以降に発売された機種のみSIMロック解除対象。
・購入から半年間はSIMロック解除できない。
・ネット受付なら無料、ショップ店頭受付だと3,000円(税別)の費用がかかる。

 

auについては、「解約後90日を過ぎてしまうとSIMロック解除してもらえない」という制限はないようです。

 

なお、いずれのキャリアも「一部機種はSIMロック解除の対象外」となっています。SIMロックを検討されている人は、各社のホームページで詳細をご確認ください。

そもそも、SIMロック解除は必要なのか?

SIMロック解除はネットで申し込めば無料です。ですから、費用的なことはあまり気にする必要ありませんが、「5月以降に発売された機種は購入後、半年間SIMロック解除できない」「4月以前に発売された機種はSIMロック解除できない(ドコモのみショップで有料受け付け)」ことの方が気がかりです。

 

でも、そもそも、どういう時にSIMロック解除が必要なのでしょうか?

 

1.海外で使用する場合

海外で、その国で使えるSIMに入れ替えて使用する場合は、SIMロック解除がマストです。この場合はSIMロック解除の意味があります。

 

ただ、もともとSIMフリーを前提に作られたものと違って、日本のキャリア向けに作られたスマホは日本の通信方式/周波数帯(バンド)で使われることを前提に作られたものがほとんどです。ご自身の端末のスペックを確認した上で、(目的の)国で使えることが判れば、SIMロック解除の意味があります。

 

2.他キャリアに乗り換える場合

他キャリアに乗り換える場合は、SIMロック解除しなければなりません。では、SIMロック解除すれば、どこのキャリアにでも乗り換えが可能?そうではありません。以下のような状態です。

 

ドコモからソフトバンクへ: 通信方式は同じだが、周波数帯(バンド)が異なるので、機種ごとに確認が必要

 

ドコモからauへ: 通信方式が異なるので、ダメ

 

ソフトバンクからドコモへ: 通信方式は同じだが、周波数帯(バンド)が異なるので、機種ごとに確認が必要

 

ソフトバンクからauへ: 通信方式が異なるので、ダメ

 

auからドコモへ: 通信方式が異なるので、ダメ

 

auからソフトバンクへ: 通信方式が異なるので、ダメ

 

他キャリアへ乗り換えするためにSIMロック解除することは、auユーザーには意味なし、ドコモとソフトバンクのユーザーもかなり制限があって微妙という結果です。

 

しかも、他キャリアへの乗り換えについては、ご存じの通り、乗り換えた先で新たに端末を買いなおした方が、割引などあって安くつくケースも多いのが実態です。現状ではSIMロック解除のベネフィットはないように思われます。

 

3.格安SIMカードに乗り換える場合

では、他キャリアではなく、回線を借りて販売している格安SIMカード会社(MVNO)に乗り換える場合はどうでしょう?SIMロック解除は必須なのでしょうか?

 

まず理解しておかなければならないのは、現在100社以上ある格安SIMカード会社のほとんどがドコモの回線を使っていると言う事実です。
ソフトバンクの回線を使っているのは、(格安SIMカードと呼ぶかどうか微妙ですが)Y!mobileの1社のみ、auの回線を使っているのが、mineo(マイネオ)とUQ mobileの2社のみです。

 

格安SIMカードに乗り換える際、「回線が変わらなければ」SIMロック解除は不要!

例えば、ドコモと契約している人がドコモ回線の格安SIMに乗り換える場合、SIMロック解除する必要はなく、ソフトバンクと契約している人がドコモ回線の格安SIMに乗り換える場合は、SIMロック解除が必要になるのです。

 

そう、もうお気づきかもしれませんが、格安SIMカード会社に乗り換える場合も、上記「2. 他キャリアに乗り換える場合」とまったく同じルールです。

 

と言うことは、ドコモ(回線)とソフトバンク(回線)の間のみでSIMロック解除した端末が使える「かもしれない」程度の話なのです。

 

「1. 海外で使用する場合」「2. 他キャリアに乗り換える場合」「3. 格安SIMカードに乗り換える場合」と3つのケースを見て来ましたが、現状、SIMロック解除でベネフィットを得られる人は、ごく限られているのではないでしょうか?

 

無料でSIMロック解除できる人は、やって損するものではないのですればよいと思いますが。でも、「SIMロックができなくて大変困る」と思い悩む必要はそれほどないように見えます。

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